僕は
 ふっと乗り込んだガラス張りのエレベーターから外を見ても、雪は降っていない。


 街は冷える。


 イブという日に。


 そして僕たちは恋人同士で聖夜を祝った。


 彼女の部屋に入ると、クリスマスツリーが飾ってある。


 小さめで、なるだけ使いやすいタイプのものだった。


 料理は江美が頼んでいた。


 ピザと他に数品注文していて、食べれば元気が出る。


 ケーキを差し出すと、彼女が、


「敬一も結構センスいいじゃん。洒落てるし」


 と言って、ロウソクを立て火を灯す。


 室内のコンポにはクリスマスソングを焼いたCDを掛けながら。


 ムードは最高だった。

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