僕は
 秋だが、スーツの下には薄っすらと汗が浮かんでいた。


 水分補給に持っていたペットボトルのキャップを捻り開けて、水を一口呷り、道路を走る。


 六本木界隈は若者が多い。


 通りにはいろんな人間がいる。


 ちゃんとした格好をした人間も、いい加減な感じの人間も。


 僕自身、ずっと思っていた。


「やっぱ弁護士って仕事は大変だな」と。


 まあ、一日フルに働く分、給料はよかったのだが……。
 
 

 
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