僕は
 だけどそれをやってのけた。


 つまり須山は自分の磨いてきた技量や才能などをしっかりと活かしたのである。


 それが今の弁護士業務に繫がっていた。


 鎌田の後任で所長になれば、僕はモノを言える立場になるだろうか……?


 とてもそうは思えない。


 でもきっと庶民的な須山のことだ、後輩を安易に見捨てたりはしないだろう。 


 そして僕も新体制になるまで走り続けるつもりでいた。


 二〇一一年も事務所で年越しした。


 ソファーに横になって眠る。


 確かに硬くて寝心地が悪く、体の節々は痛むのだが、仕方ない。


 これが法律事務所に寝泊りせざるを得ない弁護士の実態だ。


 ついさっきまで、書類などを読みながらずっと考え続けていた。


 これから先の弁護人としての仕事と、来年からの江美とのことを。

< 175 / 359 >

この作品をシェア

pagetop