僕は
「何の罪もない人を助けるためです。こちらとしても見ておられないような社会的弱者の救済を念頭に置いて」


「そうか。……じゃあ、君は今のところ、君なりに弁護士の仕事が出来てるね」


「そう言っていただけると嬉しいです」


「とにかく弁護士はきつい仕事だ。これからもその初心を忘れるな」


「分かりました」


 定食が二人分テーブルに着いたので、食べ始める。


 付いていた生卵を割って皿に落とし、醤油を入れて掻き混ぜた。


 そして炊き立てのご飯の上に載せる。


 卵掛けご飯を食べられるのは幸せだ。


 まあ、年初からこんな感じだったから、これから先一年が思いやられるのだが……。


 だけど弁護人としての僕の力量は以前よりも上がっていると思った。


 単にまだイソ弁扱いされるだけで。

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