僕は
 それにこれから、また新たな一年が始まる。


 今年は一体どんな年になるのだろうか……?


 まずは寺田充が殺害されたあの事件に関し、東京地裁において係争中である、検察と被告人の篠岡幸子・中邑靖志の裁判の行方を見守らないといけない。


 ぼんやりしている暇はなかった。


「一月半ばに日弁連の新年会がある。君も来るだろ?」


 須山が味噌汁を啜りながら言う。


「ええ、もちろんです」


「そのときは美津濃弁護士も連れてきなさい。君と美津濃君は将来を嘱望された弁護士だ。何も遠慮することはない。いずれ入籍、結婚も視野に入れてると思うからね」


「分かりました」


 新年早々、須山は僕に対し、一言言った。


 僕と江美の仲を知っているからだ。


 少し照れ臭くなって、顔から冷や汗が出ている。
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