僕は
 その日の昼過ぎ、食事に行こうとして椅子から立ち上がると、ケータイが鳴った。


 着信窓を見ると江美からだ。


 通話ボタンを押し、出た。


「はい」


 ――ああ、敬一。明けましておめでとう。


「おめでとう。今年もよろしくな」


 ――今、事務所?


「うん。自室で年越したよ。ずっと仕事してたし」


 ――お疲れ様。あたしは事務所が業務開始日になったら出てくるから。


「ああ。無理するなよ。風邪でも引いたら大変だしな」


 ――敬一も一度自宅に戻ったら?お風呂入ってないんでしょう?


「うん。今日辺り、いったん帰ろうかなって思ってる。入浴しないと、髪も体も不潔だからね」
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