僕は
 専門は僕と違い、商法だが。


 刑法と商法は同じ法律でも全然違う。


 だけどどちらも法律という点では同じだ。


 法曹家の一員として、得た知識をしっかりと活用していくつもりでいた。


 それは互いに分かっている。


 事務所が開所になれば、また電話が鳴り出し、ファックスやコピー機が作動して喧しくなるだろう。


 心身の疲労が溜まるのは目に見えている。


 年明けから事務所は通常通り、業務が始まるのだ。


 その日の夕方、事務所を出て自宅マンションへと向かう。


 新宿の街は慌しかった。


 なるだけ電車で移動する。


 一応車は一台持っているが、接見などに行くとき以外、滅多に使わない。

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