僕は
 その日の午後三時過ぎに、江美が贔屓にしている六本木のカフェに行った。


 いつもお茶を飲むときに利用する店だ。


 彼女が僕の個室に来て、


「今から外でお茶でもしない?」


 と言ってきたのがきっかけだった。


 車で行くことにして、事務所から運転する。


 マイカーは接見に行くときなど以外は滅多に使わないのだが、今日はあえて使った。


 カフェ近くの有料駐車場に停めると、歩き出す。


 あまりゆっくりしている暇はなかったのだが、仕事がずっと立て込んでいて、気を抜いてもいいと思っていた。


 考えてみれば、ずっと年末年始仕事をしている。


 事務所が開いてない間もずっと。


 そして業務が再開されてから、また互いに仕事が来ている。

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