僕は
 そう訊ねると、須山が軽く深呼吸して、息を吐き出したタイミングで、


「ああ、これでいいんだ。俺たちはもうこの事件とは関わりがない。後はこの連中を担当する弁護人に任せればいい」


 と言った。


「では先生はもうお関わりになることはないと?」


「ああ。……園岡、君にはやるべき事があるだろ?これからたくさんのクライアントとコンタクトを取ったり、別の訴訟を引き受けたりするのが君の仕事じゃないか?」


「はい。確かにそうです。ですが、どうしても気になって」


「パートナーの美津濃君に相談しなさい。彼女は賢明だ。君がこれからすべきことを教えてくれるはずだからな」


「分かりました」


 頷き、フロアから自室へと歩き出す。


 さすがに年始は街がいくらか華やぐのだが、その分、個人に掛かる疲労も増すのである。


 仕事はとうに始まっていた。

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