僕は
「うん。仕事始めの日に出勤してきたときは何ともなかったんだけど。多分インフルエンザじゃないかな?」


「病院には行った?」


「ええ。注射してもらって、風邪薬ももらってきたから。後は何とかなるわ」


「絶対無理するなよ。風邪はこじらすとまずいからな」


「そうね。引き始めに薬飲んでれば、何とかなったかもしれないけど」


 彼女は幾分弱音を吐いた。


 僕がそれを見かねて、


「運転手さん、六本木方面に向かってください。彼女の自宅マンションに」


 と言う。


 江美が、


「えっ?いいの?だってパーティー会場は新宿よ」


 と返すと、
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