僕は
第32章
     32
 翌朝、ベッドから起き上がり、大きくひとつ伸びをした。


 充電器に差し込んでいたケータイを手に取り、フリップを開く。


 江美からメールが来ていた。


 <風邪治ったから出勤してくるわ>と一言だけ打ってあって。


 安心してフリップを閉じ、ゆっくりとキッチンへ歩いていく。


 電機ポットでお湯を沸かし、コーヒーを一杯淹れた。


 砂糖やミルクを入れずにブラックで飲むと、目が覚める。


 出勤準備をして、マンションの出入り口の鍵を持ったことを確認し、歩き出す。


 事務所まで電車で通勤したとしても、せいぜい十五分程度だ。


 それだけ都心に出やすいということである。


 僕も風邪を引かないように注意して、街を歩く。


 一月だが、案外温かい。
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