僕は
 ただ、須山は気を抜くつもりはない。


 弁護士としての業務は所長就任後も可能だからだ。


 ずっと人権擁護派の弁護士として生きていくつもりなのだろう。


 この事務所が続く限り。


 もちろん高階もそうするつもりのようだ。


 商法に関係する民事裁判は彼女が手掛けていて、その下には江美を始め、数人の弁護士が付いているのだから。


 僕たちは互いに三月中頃に旅行に行くことは秘密にしていた。


 まあ、狭い事務所じゃ、噂ですぐにバレてしまうのだが……。
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