僕は
 難しい裁判となりそうだった。


 だけど怯む必要はない。


 単に須山がやったのと同様、徹底して関係資料を読み込むことだ。


 それに尽きる。


 そういったことは弁護人なら誰もが察知していることだった。


 僕も例外なしに。


 江美も分かっているのだった。


 放火犯の刑を軽くするために、僕が必死になっていることを。


 旅行の話は当分出ないだろう。


 一段落付くまで。


 それに彼女の方もここ数日間ずっと忙しいようだった。


 商法が専門である以上、関係する民事訴訟は請け負わざるを得ないのだから……。


 互いに充実していた。
< 228 / 359 >

この作品をシェア

pagetop