僕は
 それだけは何としてでも避けるつもりでいるようだった。


 警察にとっても、痛い失点だけは避けたい。


 みすみす真犯人を取り逃がしてしまうという。


 そして捜査は再開されるのだった。


 絶対に誤認逮捕で終わらせることなく。


 僕のいる新宿ロイヤルローオフィスを、新宿中央署の刑事で再捜査を担当する刑事課強行犯係の神宮(じんぐう)勇三が訪ねてきたのは、一月の終わり頃だった。


 相変わらず東京の街は暖かい。


 ずっと好天が続いていた。


 神宮が名前と担当する班名を名乗ると、僕も挨拶した。


「早速ですが、園岡先生は我々が今回の新宿の雑居ビル放火事件で、山井を誤認逮捕した
と?」


「ええ。その可能性が高いです。実際、あの発火装置を取り付けることが出来たのは、野川義勝という男だったことが我々弁護人の調査で浮き彫りになりました。山井謙二郎さんは明らかに誤認逮捕された被害者です」
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