僕は
「では再捜査しろと?」


「はい。そうしていただければ、裁判所に提出する書類等が大幅に書き変わることになりますが」


「それで済むのですか?」


「ええ。我々弁護人も全力を尽くします。本当に裁かれるべきなのは誰かということを示したいので」


「分かりました。私がチーフの神宮班が本庁の捜査員と組んで、もう一度捜査しましょう。先生は引き続き、裁判において必要な書類等を整理なさなってください。もちろん野川が逮捕されれば、要提出の書類なども大幅に変わりますが」


「はい。私は弁護士ですから、罪を持った人間を弁護するのが仕事です。ちゃんと仕事をやり遂げます」


「何かお若い頃の須山先生を彷彿とさせますね。須山先生も今の園岡先生と似てらっしゃいますよ」


「そうですか。……神宮警部はうちの須山とお知り合いで?」


「ええ。以前からずっと顔見知りですし、今でも一緒に飲むことがあります」


「刑事と弁護士じゃやってることがまるで違うのに、ですか?」
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