僕は
「はい。須山先生は人間的にとても尊敬できる方ですので。我々警察官とも絶えず接触があるのですよ」


「初耳ですね。先生が飲みに行かれることはあまり聞いてないので」


「あの方も普通の男性です。懐は大きいですが」


 神宮がそう言って笑った。


 僕も釣られて微笑する。


 その後、神宮が口元を引き締め、


「では署に帳場を立てて、再捜査を開始します。何かあればいつでも言ってこられて結構です。内勤の刑事が対応いたしますので」


 と言い、一礼して歩き出す。


 神宮は堅気の警察官らしく、上下とも黒っぽいスーツを着て、灰色のロングコートを羽織っていた。


 そして神宮と、付き添っていた刑事たちが出ていくと、また僕は資料を読み返す。


 警視庁からは随時資料が届いていた。
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