僕は
 別に警察が協力的なことをしてくれるわけじゃないのだった。
 

 弁護士は集まった資料を更に読み込むことが必要だ。


 警察官の書く員面調書は最近の捜査状況では怪しいものが多い。


 現に須山が木崎朱莉を弁護した際に読み解いたのは、担当刑事の書いた員面調書の裏だった。


 謎が謎を呼ぶ。


 警察官が虚偽の記載をした資料を読み、その裏を暴くというのは実に難しいものと思われた。


 だけど弁護人にとってそれしか方法がない。


 警察とはまるで違うのだから……。

 
 捜査は全面的に刑事に任せても、法廷で争うのは、僕たち弁護人と起訴手続きを済ませた検事なのだし……。


 神宮警部がどんな捜査をするかは、微妙な感じだった。


 もう一度現場を洗うのが筋だろう。
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