僕は
 タイマー式の発火装置をビルに設置し、建物ごと放火させ、多くの死傷者を出した罪は実に重い。


 そんなことぐらい誰でも認識出来ているだろう。


 裁判の経過がどうなっていくのかは分からない。


 だけどある程度予測は付いていた。


 野川に対し、懲役刑じゃなくて、死刑など重たい罪が着せられるということを、だ。


 そういったことは刑法畑にいる僕や須山だけでなく、刑法を専門としない江美や高階なども認識しているものと思われた。


 法廷では熾烈な戦いが繰り広げられるはずだ。


 野川が主張する事件当日のアリバイはもちろん、それを立証するための関係者の証言、それに事件発生時、ビル近辺にいた人間たちの話など。


 二月の半ば頃までには証人調べが全て終わり、第一審が結審する。


 果たして野川にどんな罰が下るのだろうか……?


 これは個人的な問題だけじゃ済まされない。
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