僕は
 何せこの手の公判は世間の注目を集めやすいからだ。


 それに裁判の傍聴席には日弁連の幹部なども来ていた。


 野川に対し、どういった裁定が下されるのか、幹部級の人間たちも見たいと思っているのだろう。


 裁判自体、実に大変なのだった。


 僕も江美も須山も業務の合間に来て、傍聴し続けている。


 江美とは、事務所やこういった裁判所で以外は会ってない。


 まあ、互いに暗黙裡に愛が育めている分、いいのだったが……。


 それに僕たちにとって、こういったことは半ば業務の一環でもあるのだった。


 確かに地味だ。


 上下ともスーツを着て、公判を見に行く。


 寒さで辛かったが、連日同じ調子で東京地裁まで足を運ぶ。


 比較的ゆっくりとしていた。
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