僕は
 簡単に想像がつかないものの、ある程度は分かる。


 相当な覚悟を決めて掛かるだろうと思われた。


 何せ一度死刑判決が出た人間に減刑として懲役刑などが科されたとしても、無期か禁固三十年など、相当な重罰が下されるのは目に見えていたからである。


 川谷は自身の弁護士生命を賭け、次の法廷にやってくるだろう。
 

 僕も江美も、そして須山も川谷を見ながら、哀れに思っていた。


 やはり弁護士にとって裁判で負けるというのは重たいことである。


 それは弁護人なら刑事訴訟であろうが、民事訴訟であろうが、どんな訴訟でも同じだ。


 僕たちはその日の午後、事務所に帰り着き、仕事を再開する。


 どんな人間たちがクライアントとして来るのか、待ちながら……。


 もちろんその間、弁護士としての仕事はちゃんとしているのだが……。


 法律は頻繁に変わるわけじゃないのだが、自治体の条例などは小まめに変わっていた。


 弁護士にとって、国会で審議されて改正などがなされる法律を勉強するのも大事だったが、条例などは自治体ごとにどんどん変わっていくので、そっちの方を覚え込むことも必
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