僕は
によってホテルの部屋に呼び出され、着いたときはすでにベッド上に死体があったんです。それが正しい事件の経緯(いきさつ)だと思われます。他にもこの調書は穴だらけです。被疑者がナイフを所持していたとか、それを使って刺し殺した挙句ロープを使って首を絞めた、などと」


「おかしいよな」


「ですよね?私もそう思ったんです」


 須山が疲れてしまい、脂の浮き出ていた顔を軽く撫で、


「つまり木崎朱莉はどう考えても、警察と検察がでっち上げたシロの人間なんだな?」


 と訊いてきた。


「間違いありません。木崎さんは私が弁護します」


「ちょっと待て。まだこの事件の弁護は君みたいな若造じゃ早すぎる。主任弁護人は俺が務める」


「いいんですか?お仕事が増えて」


「ああ。俺だって長年ずっと刑法の畑で来てる。ちょっとやそっとのことで動揺してたんじゃ、弁護士は出来っこない。君は今回は俺のサブを務めろ。それがベストだ」


「分かりました」
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