僕は
 頷くと、須山が一言、


「俺も空のフラッシュメモリを一本持ってる。その員面調書、これにコピーしてくれないか?」


 と言い、持っていたフラッシュメモリを差し出した。


 立ち上げていたパソコンのドキュメントを開き、中にあるデータを須山のフラッシュメモリにコピーする。


 この員面調書は優に四百ページ以上あるのだし、他の関連調書も併せて読み込むとしたら、相当な分量の書類を読むことになる。


 そして裁判に臨まないといけない。


 だけど須山は落ち着いていた。


 確かにこの調書を読む限りでは、被告人の心証を悪くするような不利なことが書き綴ってある。


 ただ、さすがに場数を踏んだ弁護士は頼もしい。


 堂々と検察官と渡り合うつもりでいた。


 相手は能島検事だ。
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