僕は
 確かに今の僕じゃ、まだ無理だ。


 これは長い期間を掛けてやっていくことである。


 東都大時代の同級生でも、現時点では特定の法律事務所に勤務している人間が多い。


 僕もその一人だった。


 だけど希望は大いにある。


 これから先、いろんなことが待ち受けているだろう。


 それを乗り越えていくための力を付けるつもりでいた。


 江美は今のところ独立する予定は全くないらしい。


 しばらくはこの事務所にいるようだ。


 確かに商法専門の弁護士は刑法や他の法律分野と違い、独立は難しい。


 僕もそういったことは分かっていた。


 彼女が独立を考えるには相当な勇気が要ると。


 それに江美の場合、高階の下に付いていた方が返っていいのである。
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