僕は
 誰と結婚するにしても、独身でいるにしても、いずれはまた弁護士の資格を生かして仕事をするしかなかった。


 事務所内でいろんなことが噂として飛び交う。


 僕もそういったことは耳にしていた。


 女性弁護士たちが何かに付け、話をするのだ。


 ふっと疲れを覚えたときは、執務しているデスクから立ち上がり、ゆっくりと深呼吸した。


 苦労が絶えないのは分かっている。


 弁護士がいろんな形でクライアントを支える業務である以上。


 それに疲労は目に見えていた。


 江美も最近、体調が思わしくないようだ。


 横顔がどこかしら疲れているように見えて、きつそうだった。


 そういったときは僕の方から声を掛ける。


「疲れてない?」と。
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