僕は
 検事でも精鋭である。
 

 東京地検は日本でも一番の頭脳が集まる検察官集団で、並みの弁護人じゃ勝てない。


 だけど何としてでも木崎の無罪を明らかにし、ホントに被害者を殺害した人間を逮捕しないといけないと思っている。


 そう思えば、この事件の重たさが芯から分かった。


 まるでドッと降ってくるような。


 そして須山はコピーしたフラッシュメモリを受け取ると、言った。


「仮眠取れよ。俺は徹夜でこの調書読むから。あと、事件に関して関連資料があったら、後で俺のメールアドレスに送ってくれ」


「分かりました。お疲れ様でした」


「ああ。じゃあな」


 須山は僕の方をチラッと見た後、笑顔で部屋へと戻っていく。


 翌朝、デスクで眠っていると、出勤してきた江美から起こされた。


「敬一、朝よ。業務開始」
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