僕は
 川谷の所属する品川ボールディング法律所に在籍していた啓徳大出身の弁護士たちも、控訴審の弁護に反対しているようだった。


 キャリアに傷が付くと。


 だけど弁護人たちは皆、ステータスや報酬の多寡に関係なく、仕事をすべきなのだ。


 それは誰もが心得ていた。


 そして審理が進んでいく。


 証人調べから始まって。


 仕事をしながらも、パソコンで見ることの出来るネットニュースで裁判の行方を見続けていた。


 自分に降りかかってくるものが何もない以上、怖がる必要はないものと思って。


 裁判の様子をニュースで見ながら、まだ冷え込む東京の街にいる。


 容疑者として誤認逮捕された山井さんは釈放されたにしても、いろんなことが絡んできていた。


 川谷は果たして裁判で野川に対する酌量の余地を勝ち取ることが出来るのか……?
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