僕は
「……OK」


 眠たい目を擦(こす)りながら、起きる。


 さすがに深夜から明け方の午前七時過ぎまで眠っていた。


 向かいの部屋には須山がいて、プリントアウトした膨大な資料をチェックし続けている。


 どうやら壮年期というのは今のような須山を差して言うらしい。


 とにかく脂が乗っている。


 徹夜ぐらい余裕で利くようだった。


 自室のコーヒーメーカーを稼動させ、ホットコーヒーを一杯淹れる。


 そして飲んだ。


 パソコンは電源を切っていたので、スイッチを入れて起動させる。


 部屋の中を歩きながら、今回の木崎朱莉の件は須山と自分の共同で担当する裁判だと思った。


 弁護士登録をしていても、三十代じゃまだ新米扱いだ。

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