僕は
 何もかもをサービスでやっていたら、弁護士事務所は持たない。


 だから常に仕事に追われる。


 朝から晩まで業務が続くのだ。


 ほんの些細なことから、重大な案件まで。


 仕事の依頼もピンからキリまでで、依頼人も会うまでは顔が見えない。


 電話などで声を聞いたり、送られてきたメールを読むだけじゃ分からなかった。


 だから案件が大きければ、必ず会う。


 その繰り返しだった。


 弁護士の仕事は実に大変なのである。


 実質、3K労働のようなものなのだし。


 だけど鎌田が新年度に先駆けて行なった弁護士のリストラは奏功した。


 必要のない人間たちは残らず追い出されてしまう。


 僕も清々しているのだった。
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