僕は
第46章
46
ビル放火犯の野川義勝の控訴審は、先月末から新たに証人調べが実施されていた。
僕ももうあの裁判に首を突っ込むのは止めている。
何のメリットもないからだ。
警察による誤認逮捕後、釈放された山井さんは前の職場から新しい職場に移って働いているらしい。
「今回の事件で警察の捜査の乱雑さが分かったような気がするわ」
三月中頃、江美がティータイムを共にしながら、僕相手に話す。
「まあ、確かにそうだね。俺も新宿中央署の神宮警部が再捜査してくれたことで、山井さんは犯人じゃないって分かって、胸を撫で下ろしてるよ」
「今、ちゃんと働いておられるんでしょう?山井さん」
「ああ。以前の職場から新たな職場に移っておられるって聞いた」
「罪人扱いした警察も問題ね」
「そうだよ。人生狂わせた訳だからな。……俺もこれから先、しっかり弁護人の仕事しようって思ってる」
ビル放火犯の野川義勝の控訴審は、先月末から新たに証人調べが実施されていた。
僕ももうあの裁判に首を突っ込むのは止めている。
何のメリットもないからだ。
警察による誤認逮捕後、釈放された山井さんは前の職場から新しい職場に移って働いているらしい。
「今回の事件で警察の捜査の乱雑さが分かったような気がするわ」
三月中頃、江美がティータイムを共にしながら、僕相手に話す。
「まあ、確かにそうだね。俺も新宿中央署の神宮警部が再捜査してくれたことで、山井さんは犯人じゃないって分かって、胸を撫で下ろしてるよ」
「今、ちゃんと働いておられるんでしょう?山井さん」
「ああ。以前の職場から新たな職場に移っておられるって聞いた」
「罪人扱いした警察も問題ね」
「そうだよ。人生狂わせた訳だからな。……俺もこれから先、しっかり弁護人の仕事しようって思ってる」