僕は
 頭の中を空にするという。


 六時間もの間、食事をしたり、眼下に広がる海の様子を見たりして楽しんでいた。
 

 いつもは夕食に出前のうどんや蕎麦、ラーメンなどばかりだったから、たまには島で美味しいものでも食べようと思う。


 頑張っていた自分にご褒美を――、と考えてだ。


 島に着けば、入国審査の後、日本円を現地のドルと交換する。


 そして予約していたホテルへとタクシーを飛ばすつもりでいた。


 やがて飛行機は島の滑走路へと着陸する。


 機はずっと滑走路内を廻っていき、やがてターミナルに横付けされ、乗客を吐き出す。


 辺り一帯が夏のように蒸し暑かった。


 天候上、時折スコールが降るらしい。


 こんな暑い島だと雨も慈雨なのだろう。


 揃って歩き出す。
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