僕は
 降り立ってみると、やけに蒸し暑かったのを記憶している。


 今のこの島の気候とオーバーラップするようにして。


 沖縄の海は澄んでいて透明だったし、この島の海もほとんど同じである。


 今、僕は短パンだったし、江美もショートスカートを穿いていた。


 食事は午後一時過ぎまで続き、取り終えてからしばらくは椅子の背凭れに凭れ掛かる。


 食事を取った後だから、それが自然なのだ。


 いつものせせこましいことは忘れてしまう。
 

 さすがに持ってきているのがスマホだけだったし、写真を撮るのに使っていた。


 また海岸線に戻れば美しい海が待っている。


 僕たちは揃って寛ぐつもりでいた。
 

 海を見つめながら……。


 天然のビーチはこの島に人が住み始めてからずっと、今の状態のまま保存されているらしい。
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