僕は
 鼻腔にはまだフロアの香水臭さが残っていたのだが、構わない。


 これからも江美とはずっと一緒だ。


 新年度から須山と高階が事務所を取り仕切ることになるのだが、世代交代という意味ではいいと思っていた。


 須山は所長として所内にいる全ての弁護士を管理する。


 高階がその手助けをするのだった。


 僕や江美にはまだ重要なポストが回ってこない。


 イソ弁だからだ。


 だけど考えてみれば、僕たち三十代の弁護人よりも一回りぐらい年齢が下の弁護士が事務所内にいる。


 現に四月にも数名の弁護士の新規採用があると聞いていた。
 

 忙しくなりそうだ。


 新米たちはいろんなことを考えているだろうし。


 僕や江美など、イソ弁でも一定期間事務所に在所している人間たちは後輩たちを教育す
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