僕は
るのも仕事だ。


 確かに彼ら・彼女らも司法修習の段階で、弁護業務の根幹は分かっているにしても。


 新年度から僕たちの世代が先輩として教え込むのである。


 弁護士としての業務のハウツーを。


 それに決戦場となる法廷でのやり取りの方法なども。


 事欠かない。


 大学卒業と同時に新宿ロイヤルローオフィスに勤務し始めてから、もう十年ぐらい経つ。


 もう数年すれば貯めていた金を叩いて、独立する手筈も整っていた。


 自分の法律事務所を持つのである。


 そのときは商法専門の弁護士として江美を引っ張り込むつもりでいた。


 そういった青写真を思い描きながら、窓辺でコーヒーを飲む。


 カフェインが入ってくるにつれ、神経が覚醒してくる。


 景色を見ながら、今日もまた海を見に行くつもりでいた。
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