僕は
「ああ。ここからだと、北に向かって歩いて二十分ぐらいだからな」


「緑が見れる場所?」


「うん。きっと心地いいと思うよ。普段は緑なんて滅多に見れないし」


「そうね。じゃあ行きましょ」


 江美が頷き、洗顔するため、洗面所へと入っていく。


 そして洗顔後、鏡台に向かいメイクし始める。


 彼女はスッピンでも十分綺麗なのだが、素顔を晒すことがない。


 多分、メイクも自分なりにしているお洒落の一つだと思う。


 今日の江美も輝いていた。


 女性は二十代を過ぎても、まだ花盛りだ。


 もちろん仕事でもプライベートでも使う力は落ちてくるのだが……。


 僕も追って洗顔し、持ってきていたトリートメントで整髪する。


 整髪剤は使い過ぎないようにしていた。
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