僕は
 髪にはあまりよくないので、ムースタイプの泡を少しだけ手に取って付ける。


 互いにコーヒーを飲み終わり、外出準備を整えてから部屋を出た。


 ホテル八階の八〇七号室は高層とあって、とても眺めがいい。


 エレベーターで階下へと降り、フロントにキーを預けて、ホテルを出る。


 そして道を北へと向かった。


 森林公園はとても気持ちいいだろうと思う。


 小高い丘でわずか十分ほど歩くと、頂上に辿り着ける。


 南風は海側から山へも吹いてきていた。


 熱風でいかにもこの島が南国であることを思わせる。


 丘の上へ登り詰めて公園に辿り着くと、事前に買っていた弁当を食べながら緑を見た。


 何もかもを忘れられる。


 この島にいる間は。


 数日後には日本に戻らなければならないのだが……。
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