僕は
 一応確保していた物件を不動産会社の人間に案内してもらい、着いたときは正直ホッとしたのだ。


 それだけ慣れない街だったのである。


 東京――、とりわけ新宿は。


 雑多だったからだ。


 いろんな人間が絶えず行き来し、その息吹が感じ取れる街なのだし。


 入学式前に近くにあるスーパーやコンビニ、両親からの仕送りの金が振り込まれてくる郵便局などを確認して四月から学生生活が始まった。


 日々一般教養と法律の専門授業を受けながら、勉強に励む。


 サークルにも入っていた。


 野球をやるそれである。


 単に五人ぐらいの仲間内でボールを投げ合って、バッティングセンターのような感じで打つだけだ。


 一汗流したら、その後は決まって飲みに行っていた。

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