僕は
 篠岡が殴るとすれば、おそらく非力なので、置物かハンマーなどの凶器を使ってだろう。


 あれだけ遺体が失血していたとすれば間違いない。


 そして警察による取調べも矛盾だらけだったことになる。


 今回の事件に関し、相当な量の調書を読み込んでいた。


 どれにも警察の捜査の失点が見受けられ、検察サイドも半ば強制的な形で起訴している。


 冤罪事件を防ぐのが自分たち弁護士の仕事だと思い、ずっと関係資料を読み込んでいた。


 さすがに疲れるのだが、必ず真犯人を暴(あば)かないといけない。


 それが弁護士の役割だ。


 たとえ被疑者がマスコミなどによって世間の悪い風評などに曝されていたにしても……。


 朝から夕方まで食事休憩を一度挟み、ずっと資料を読み続けていた。


 疲れて眠くなったときは部屋にあるコーヒーメーカーでコーヒーを淹れて飲みながら……。


 その週の半ば、江美が言ってきた。

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