僕は
第9章
9
検察官の起訴状の朗読の後、検事の能島がホテルクラークで検察側証人の林綾子に、
「あの日、あなたは確かに被告人が寺田さんの遺体の発見されたホテルの部屋を出たのを覚えてますね?」
と問うた。
「ええ」
「正確な時刻などは?」
「よく覚えていませんが、確か夜遅く……午後九時過ぎだったと思います。あの木崎って女の人が部屋から慌てて出てくるのをエレベーターフロアで目撃しました」
「それは被告人が直接もしくは何らかの形で事件に手を貸したということを意味するのですよね?」
須山が、
「異議あり!ただ今の証人の発言は誘導尋問により得たもので、被告人の名誉を毀損(きそん)し、著しく人権を傷付けるものと思われます。裁判記録からの削除を願います」
と言った。
検察官の起訴状の朗読の後、検事の能島がホテルクラークで検察側証人の林綾子に、
「あの日、あなたは確かに被告人が寺田さんの遺体の発見されたホテルの部屋を出たのを覚えてますね?」
と問うた。
「ええ」
「正確な時刻などは?」
「よく覚えていませんが、確か夜遅く……午後九時過ぎだったと思います。あの木崎って女の人が部屋から慌てて出てくるのをエレベーターフロアで目撃しました」
「それは被告人が直接もしくは何らかの形で事件に手を貸したということを意味するのですよね?」
須山が、
「異議あり!ただ今の証人の発言は誘導尋問により得たもので、被告人の名誉を毀損(きそん)し、著しく人権を傷付けるものと思われます。裁判記録からの削除を願います」
と言った。