僕は
 どうやらこれだけ篠岡が真犯人であり、木崎は全くの無罪だという証拠が揃えば文句はないだろう。


 証人調べの段階で、須山は無罪を勝ち取れると思ったらしい。


 さすがに法曹界においても有名なやり手弁護士が取り組んだ事件だ。


 能島は気圧(けお)された状態だった。


 それもそうだろう。


 木崎が犯人であるという証拠が捏造されたのはほぼ間違いないのだから……。


 その日の調べが終わり、夕食を食べるため入ったラーメン屋で須山が言った。


「園岡、次の証人調べと第一審の結審まで俺たち弁護側のスピードで行くぞ」


「ええ。先生の今日のご活躍は何よりでしたからね。お見事でした」


「ああ。俺もあれぐらいはやるよ。しっかりとな」


 須山が出されたチャーシュー麺を啜りながら、笑顔を見せる。


 僕も江美もさすがに圧倒されていた。

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