僕は
第10章
     10
 第二回目の証人調べと第一審の結審は十一月の半ば頃となる。

 
 それまで中途半端に少し時間があって、どうしようもない。


 十一月上旬の晴れた日に、江美と一緒に六本木のカフェにお茶を飲みに行った。


 この間と同じカフェだ。


 クレルールは昼下がりとあってか、客は少なくて閑散(かんさん)としている。


 店内のテーブル席に陣取り、揃って持ってきていたノートパソコンを立ち上げて、木崎朱莉が殺人犯に仕立て上げられた今回の事件に関して探る。


 コーヒーとスイーツが届くと、食べながら話をし始めた。


 手元のディスプレイにはこの間の証人調べの記録が載っている。


 データベースとしてすでにオンライン化されていて、法曹関係者は自由に閲覧できるようになっていた。


 ケーキの甘さをバリスタに淹れてもらっていたエスプレッソのコーヒーで誤魔化す。


 そしてずっと記録を見続けた。

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