僕は
第2章
     2
「敬一」


「何?」


「今日の午後のプレゼン、よかったわよ。あたしもあなたが喋る様子ずっと聞いてて、あれだったら上役たちも十分納得するだろうなって思ったわ」


「そう?そんなによかった?」


「ええ、文句なしね。事前に相当調べ上げたんでしょう?あれだけの量の情報を掻き集められるのは、若手のあなただからこそ出来ることよ」


「若手って、君だって俺と二つしか年違わないじゃん」


「まあ、そうだけど。でもあたしが三十代に入ったとき思ったのは、二十代とは全然違うってことね。何もかもが」


「そんなにギャップ感じてるの?」


「うん。さすがに普段からオフィスにずっと詰めてると運動不足だし、疲れるのよ。家に帰ったらすぐにお風呂に入って疲れを取ってから、食事にするわ」


 江美は一人暮らしだった。
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