僕は
 慣れているのだった。


 ゆっくりと慌てることなく個室へ入っていく。


 そしてパソコンを立ち上げ、起動するまでの間にコーヒーメーカーに作ってあったコーヒーを注ぐ。


 確かに疲労していた。


 木崎の裁判もあり、業務も立て込んでいるからだ。


 だけど気合を入れて頑張るしかない。


 現にパソコンのメールボックスを見れば、クライアントからの依頼のメールなどが入ってきていたからだ。


 弁護の依頼を引き受けて初めて、弁護士の仕事が成立するのである。


 ラッキーだった。


 事務所に在籍している以上、いくらイソ弁とは言っても案件は入ってくるし、一定の給料が取れるからだ。


 それで十分暮らしていけたのが現実だったし。

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