僕は
を得ないのか――、それを司法という場で明らかにしたかったからだ。


 弁護士登録して、今の事務所に勤め始めてから、ずっと弱い人たちを見続けてきた。


 もちろん刑法だから、強盗や放火、殺人などの嫌疑が掛けられた被告人を弁護し続けている。


 東京拘置所には未だに定期的に行っていた。


 接見などを頻繁に行なう。


 助けたいと思う人は山ほどいた。


 それに何の罪もない人が裁判に掛けられて、あらぬ罪を着せられると、こっちとしても見ておられない。


 そう思って弁護士を志望したのだった。


 弁護士バッジが眩(まぶ)しく見えるからじゃない。


 もちろん報酬の問題など、全く気に掛けていなかった。


 時間と費用を惜しむことなく、毎日事務所に詰め続けている。


 イソ弁だと雑用係のようなものだが、一応個室は持っていたので、そこで仕事をしてい
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