僕は
 やはり木崎が無罪であることに関して、矛盾点は全くない。


 誰か真犯人がいて、彼女に罪を着せたものと思われる。


 それは変わらない事実だった。
 

 資料を閲覧するたびにその想いが固まる。
 

 そのとき、出入り口に人影が見えた。


 江美だ。


 ドアがノックされたので引き開けると、


「おはよう」


 と彼女が言ってくる。


「ああ、おはよう」


 何気ない感じで朝が始まった。


 いつもと変わらない弁護士事務所の朝が。

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