双華姫~王の寵姫~
志高が那智の部屋に着いた時・・・那智の部屋からは美沙が叫ぶ声が聞こえてきた。


志高が来るのが見えたのだろう。


美沙は急いで那智に告げている。


それが・・・那智の部屋に他に誰かいると言っているようなものだった。


「那智華・・入るぞ」




それだけ言うと志高は返事を待たずに扉を開ける。



中に入ってみれば、困ったような那智がいた。



「志高様・・・?宴は宜しいのですか?」



自分も席を外したくせに、那智は焦りを隠すように志高に尋ねる。



「・・・・聞きたい事がある」



聞いてはいけない・・・。那智の直感がそう告げている。


いつだって嫌な勘は当たるのだ。


那智は美沙に下がるよう言うと、美沙は心配そうに那智を見ながらも下がっていく。



美沙自身、王の様子にここにいてはいないと思ったのだろう。



美沙が出て行くのを確認し、那智は志高の方へと向き直る。
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