双華姫~王の寵姫~
「美沙・・・・美沙・・・助けて・・・」


必死に声をあげて、侍女の名を呼ぶ。


その声が届いたのか・・・美沙が部屋に入っても良いかと確認を取れば・・・。



「入るな」



志高の冷たい声が美沙の耳に・・・・そして那智の耳へと届く。


「美沙・・・・美沙・・・・お願い・・・・美沙・・・・」


那智の今にも壊れそうな声が美沙の耳から離れない。



「しかし・・・・那智姫様が・・・」



何とか自分を奮い立たせ美沙が志高に声をかけるが・・・・答えは変わらなかった。



「入るな。しばらくは誰もここに近寄らせるな」



それが志高の答えだった。



美沙は「御意に」と言うと・・・那智を残し下がって行った。



「美沙・・・・?・・・・・嫌ぁぁぁぁ・・・」




今にも室に入り・・・那智を助けたかったが・・・ここは後宮。




王の言葉が絶対だった。
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