双華姫~王の寵姫~
柚那が那智に弱い事を・・・那智はよく知っている。


最後にはこの優しい双子姉姫は、自分に折れてくれるのだ。



ジーッと柚那を見つめていれば、柚那が諦めたように一つ息を吐くのが分かる。



「はぁ・・・仕方ないわね。可愛い妹の為に・・・・妾が行ってくるとするか」


最後は那智の話し方を真似て言ってくる。


しかしそれを見る限り・・・・柚那が那智を演じていると思う者はいないだろう。


家族を除き、柚那と那智を見比べれる者はほとんどいない。



美沙を呼んで、柚那は那智のようにするよう命じる。



美沙も慣れている為、驚きもせず手伝ってくれた。



それには元気を取り戻した那智を、これ以上傷つけたくないと言う美沙の想いもあったのだが・・・それはまた別の話だ。




美沙に手伝ってもらい、那智の話し方を真似れば・・・・柚那は那智にしか見えない。



出てゆく柚那と美沙を那智は満面の笑顔で見送った。
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