双華姫~王の寵姫~
龍が思っていた通り・・・那智の答えは同じだった。



「行きたいけど・・・・行けない」



さっきよりもハッキリと、その目に確かな意思を宿し言う那智は・・・・龍が愛した那智だった。



宴の時のような人形ではなく、那智の華と言われるに相応しい姿で。



那智は思う。



(この選択を・・・後悔する日がくるかもしれない・・・それでも・・・・)




自分に自由をくれようとした王を一人にはできなかった。





那智が正妃を逃げれば・・・志高の立場は悪くなるに決まっている。



忌み子の王はこれだから・・・と陰口を叩く奴もいるだろう。



どこまでも付いて回る忌み子・・・・けれどそれが王と那智を出会わせた。




「龍・・・・好きだった・・・大好きだったよ・・・・」



それが悩んで悩んで・・・那智が出した答えだった。
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