双華姫~王の寵姫~
(好きだった・・・大好きだった・・・・)



過去形になってしまっている事が・・・・答えのような気がする。



想い出になっていたのだ。


いつからか・・・分からない間に。



宴の時、龍を見て心が悲鳴をあげた・・・けれど今は優しい気持ちで龍を見ていられる。



涙が出てこないと言ったら嘘になるけど・・・。




「初恋は実らないのよ」



昔何かの書物で読んだことがある。



その時は、龍との初恋を絶対実らせてやる。そう思っていたけど・・・本当に初恋は実らないのかもしれない。




「俺は実らせる気だったよ・・・・」




龍の笑顔が悲しい色に変わる。




それでも那智を無理にここから連れ去ろうとしない・・・・そんな龍だから那智も好きになったのだ。
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