双華姫~王の寵姫~
「龍・・・・妾は・・・龍に出会えて幸せだった」




世界が輝いて見えるとはこういう事を言うんだなと・・・・あの時初めて知ったのだ。




「後宮での・・・光のない世界を救ったのは、龍と過ごした日々・・・」




幸せな想い出だけを抱きしめて生きて行こうと、那智は思っていた。




「俺も那智といるのが・・・一番幸せだよ・・・」




龍はまだ過去形で話すことはできそうにない。





「けれど・・・・その幸せな日々を置いて、光のない世界に戻っていく・・・・那智はそういう奴だよな・・・」





昔も今も・・・どこまでも優しい那智。





一人ぼっちの王を・・・ほっておくことができなかった。




「知っていたよ・・・那智が・・・自分の幸せだけを願うわけないって」





自分の幸せより、周りの幸せを願う・・・・そんな那智だから龍は好きになった。


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